「フレイル」は高齢者が抱える健康リスクの一つで、身体的、精神的、社会的な脆弱性が見られる状態を指します。「フレイル」は、単に年をとることで自動的に訪れるわけではなく、生活習慣や社会環境によって左右されるため、予防や早期対策が可能です。
「フレイル」には「身体的フレイル」「精神的フレイル」「社会的フレイル」の３つの要素があります。
「身体的フレイル」は、日常の活動量の減少、口腔機能の低下、低栄養などによる筋力の低下などがそれにあたります。体力の低下や免疫力の弱化を招いたり、日常生活のさまざまな動作が困難になることがあります。
「精神的フレイル」は定年退職やパートナーを失うなどによる、うつ状態や軽度の認知症状態などを指します。不社会的フレイルは、孤独感や社会との接触機会の減少が原因で、心理的な健康問題につながることがあります。
「社会的フレイル」は、家族や友人、知人などの交流が減り、社会的に孤立した状態になることを指します。
これら三つのフレイルは密接に関連しており、一つが他のフレイルを引き起こす「フレイルドミノ」と呼ばれる連鎖反応を引き起こす可能性があります。
たとえば、身体的な衰えが進むと外出が難しくなり、社会的な交流が減少し、孤立感が増して社会的フレイルにつながることがあり、このようにフレイルは一つの問題が次の問題を生んでしまうため、早期の介入が重要です。
フレイルの社会的な認知率はまだ低く、多くの人々がフレイルのリスクや影響を十分に理解していません。2019年の調査によると、フレイルという言葉を「知っている」と答えた人の割合は、わずか20%程度でした。この低認知率は、フレイル予防の取り組みが広まっていない一因とも言えるため、フレイルの啓蒙と教育の強化が求められます。
アクティブシニアを目指すためにも、フレイルの早期発見と対策は非常に重要です。健康な食生活、適度な運動、社会との積極的な関わりが、フレイルの予防に効果的です。これにより、高齢者がより健康で充実した生活を送るための支援が進むことが期待されます。
